DRIVE-IN SALVIA
- 裏方たちの記憶と路地裏 -
【記憶の断片1:二つの顔を持つ壁】
左側の窓に広がる、輝く東京タワーという非日常のスクリーン。
その一方で、右手の壁には路地裏へと繋がる「日常」の扉があった。
従業員用の出入り口からは、掃除の人たちや近隣に住む人たちの顔が覗く。
華やかなドライブインのすぐ横には、確かな地元の生活道路が通っていた。
忙しい合間にその扉からふと感じる路地裏の気配は、
過酷な業務に追われる我々を、ふと現実に引き戻してくれる安らぎでもあった。
【記憶の断片2:至福の一服】
深夜のピーク、終わらないオーダー、限界に達する疲労と眠気。
だからこそ、駐車場の隅でパンパンになった足を投げ出して吸う洋モクの味は格別だった。
カチッとライターの火をつけ、深く煙を吸い込む。
見上げた先には、お客さんと同じように、東京タワーのオレンジ色があった。
1970年代、六本木。
そこには、裏方として汗を流した者だけが知る、本当の「至福の時間」があった。